不動産営業本部

家づくりナビゲーション Vol.5 ~既存住宅購入時のチェックポイント~

都市部では、新築マンション・新築戸建て住宅の価格高騰や供給不足の中、割安な既存住宅が注目されています。我が社のある中山間地域においても同様に、既存住宅への関心が高まっています。既存住宅には新築住宅とは違った特徴があり、既存住宅でも、戸建て住宅かマンションか、築年数によって注意点も異なります。前回に続き、今回は、既存住宅を購入する際にチェックすべきポイントについて解説します。

中古住宅の購入時にかかる費用
(1)中古住宅の消費税
新築住宅の場合、建物が消費税の課税対象となりますが、中古住宅を個人から購入する場合、消費税は非課税です。ただし、昨今は中古住宅を不動産会社が買い取り、リフォームやリノベーションを施したうえで再販するケースも多く、売主が不動産会社の場合は建物に消費税がかかります。
(2)仲介手数料
中古住宅では業者仲介による取引が多く、9割が仲介業者を通して購入しています。そのため、予算の中にも仲介手数料を計上しておく必要があります。例えば2,000万円の中古住宅を購入した場合、仲介手数料の上限は税込で72.6万円と、かなりまとまった額になります。不動産売買の仲介手数料は、国土交通省が定めた「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号)によって、「物件価格の3%+6万円(消費税別途)」が、不動産売買における仲介手数料の上限価格と決まっています。しかし、2017(平成29)年12月8日に改正され、2018(平成30)年1月1日より「物件売買価格が400万円以下の場合、売主から(買い主からは、従前どおり)は、最大18万円受け取ることができる」ことに変更となっています。
(3)リフォーム費用
中古住宅購入者の4人に3人の割合で、売主・又は買主がリフォームします。リフォーム費用は数十万円から数百万円と、建物の築年数や構造、リフォームの内容等によって幅があります。そのため、購入前にはリフォームの希望や必要性、内容等を確認し、見積もりを取得し予算を把握することが重要です。なお、リフォーム費用について借り入れを希望する場合、住宅ローンとリフォーム資金をセットにした住宅ローン商品(リフォーム資金セット型)を扱っている金融機関もありますので、チャックしてみてください。

中古住宅の購入契約をする際の注意点
新築住宅と異なり法令などで手厚い保証がないだけに、購入を決めるに当たっては確認すべきポイントがあります。
(1)保証の確認
新築住宅では「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき建物の構造耐力上主要な部分や雨漏りについて10年間の保証がありますが、中古住宅には品確法が適用されず、契約不適合責任による法律上の請求期限である1年間の保証のみになります。さらに個人間売買の場合、特約により契約不適合責任が免除されたり、期間が短縮されたりするケースが一般的です。ただし、売主が不動産会社の場合、契約不適合責任の通知期間は引き渡しから2年以上としなければならず、大手ハウスメーカーなどの建物の場合はメーカーが定める保証やアフターサービスもあるため、その内容についても確認しましょう。
(2)インスペクション
中古住宅の場合、購入前の建物チェックが重要ですが、住宅の瑕疵については素人ではなかなか判断ができないため、専門家によるインスペクション(建物状況調査)の利用があります。インスペクションの実施率はまだまだ少ないですが、毎年実施率は上昇しています。戸建ての場合で18%、マンションで10%です。インスペクションの費用は建物の構造や広さなどによりますが5万円~15万円程度が一般的で、インスペクションを実施した側が負担します。安心して中古住宅を購入するためには、インスペクションの検討も必要です。
(3)既存住宅売買瑕疵保険
中古住宅の場合、新築住宅のような手厚い保証がありませんが、瑕疵に備えるために既存住宅売買瑕疵保険があります。加入するのは買主ではなく、売主が不動産会社の場合は売主が加入し、個人間売買の場合は通常は売主が検査事業者に加入を依頼します。この保険は、住宅の検査と住宅の基本構造部分の保証がセットになっているため、買主にとっては安心です。相談者が安心できる中古住宅を購入するために、利用することをお勧めします。下記は、国土交通大臣指定住宅瑕疵担保責任保険法人「住宅保証機構株式会社」による既存住宅保険【検査機関保証型】の一例です。

次回は、中古マンション購入時の注意点などについて言及します。

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長田郁彦

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