令和3年5月20日から避難勧告は廃止され、避難指示で必ず避難しなければなりません。避難指示では、公共施設避難所に行く選択肢のほか、災害に耐える自宅であれば、自宅内の安全な場所も避難所になります。また、車中泊避難所(避難生活において自動車を使用)も選択肢となるかもしれません。「車中泊避難」と緊急避難に自動車を使用する「自動車避難」とは違いますので、注意が必要です。公共避難所となる体育館避難所と「車中泊避難所」を比較して考えたいと思います。体育館の場合、3つの大きな課題(温度・湿度・衛生)の克服する必要があります。
■温度:エアコンなど冷却用の空調が設置されていないケースが珍しくなく、暑さ・寒さ対策が必要です。
■湿度:体育館に網戸があることは稀で、そもそも体育館は風通しが悪く、熱気がこもりやすい構造になっているところがほとんどです。
■衛生:密集することによる感染症予防など衛生面を徹底することが必要です。
こうした避難所生活の課題は、災害関連死にも大きく関係しています。例えば、東日本不大震災の場合、直接死者数約18,500人に対し、震災関連死者数3000人以上でした。また、避難所が一杯で希望しても入れないとか、または、障害や持病がある方や、小さい赤ちゃんがいるので、一緒に生活するには、体育館の環境では難しいとか、また、プライバシー空間が保もたれない、ペットとの同伴避難ができない、など、体育館で生活することが難しいと考えられ方には、これらを解決する方法として、車中避難所が注目されています。しかし、車中泊避難への誤解や知識不足、また、エコノミークラス症候群の問題解決の必要もあって、自治体による支援が十分でなく、車中泊避難所への受容が進んでいないのが現状だと、先日のセミナーで知りました。災害時のおける問題解決に100点満点の回答はなく、よりベターな思考回路が必要とされ、「車中泊避難」が、住民ニーズの高まりと多様な選択肢の一つとして官民ともに考える時が来ているようです。
さて、軍事作戦や災害現場におけるNPO/NGOが実践して評価される手法に、ウーダ(OODA)ループがあります。OODAとは、Observation(観察)・Orientation(情報判断)・Decision(意志決定)・Action(行動)の頭文字4文字からとったもので、PDCAを回すのではなく、災害発生後には、ウーダ(OODA)を回すという手法です。映画「踊る大走査線」で織田裕二さん演じる青島刑事が放った有名な一言、「事件は会議室で起きてるんじゃない。現場で起きているんだ!」
主催者は、現場状況に沿って決断し、臨機応変に行動する。計画重視でなく、現場重視(計画は参考程度)。現在の熾烈なビジネスシーンにも通じると感じます。迅速な意思決定が求められる場にあって最重要なことは、情報判断(Orientaion)。情報判断により、実行前に計画変更可、状況に即した行動をするという手法です。OODA LOOPに関する興味深いサイトもありました。(参考まで)https://data.wingarc.com/what-is-ooda-11126/2
藤川工務店
不動産営業本部
長田郁彦